マルチ商法の戦略の怖さ

僕は個人的に色々なマルチ商法と関わって来ました。勧誘されるフリをして現場に乗り込み、騙された態度を装って情報を集めた事もあります。その中で気づいたのですが、マルチ商法の勧誘には共通の驚くべきキーワードがあるのです。「友達のために」、とか「あなたのために」という言葉。自己中心にしか見えないマルチ商法の根本が、恐ろしいことにこれなのです。

マルチ商法の販売員は「これを使えば、あなたはもっと○○になる。あなたのためにすすめるんですよ」とか、「こういうことをすれば、あなたはお金をこれだけ稼ぐことができるんですよ」とか、実にもっともらしいことを言って来る。もちろん、本人たちはそれが本当にその人の為になるのだという信念を持ってしまっているのです。

良く考えてみればお金という代償を払うのは自分ですし、何かが良くなる訳でもない。「あなたのため」を連呼しているけれど、「あなたのため」にはならないでしょう。

マルチ商法の友達と話をする時、これが実にやっかいな壁になります。マルチ商法というものが人のためになると信じてしまっている人間と、マルチ商法は絶対に人のためにはならないと確信している人間とが正面からぶつかり合ってしまうことになるからです。マルチ商法の虜になってしまった人たちは、やはり先任から「これはあなたのため」という勧誘をされてそれで納得してしまっている。もう、これが当たり前の世界なのだと摺込まれてしまっている。これを正すのは容易なことではありません。

しかも、根底には「あなたのため」という正義があるのです。自分の利益のためではなくて、つまりあなたのため。だから一度陥ってしまうと自分が悪い商法に引っかかっているなどとは絶対思えないでしょう。

マルチ商法という商売に関わっている人たちと接触を持つ時は、くれぐれもご用心下さい。「あなたのため」という言葉に心を奪われないで下さい。普通の商売ならば「自分が欲しいから買う」のが当たり前。人が「あなたのために」とすすめても、判断するのは自分自身なのです。「あなたのために」という言葉にご用心下さい。それが、マルチ商法の恐るべき戦略なのですから。